そして、僕は父になった。
『妊娠したかも』
検査を受けるために病院へ
診察部屋
産婦人科につき診察を待つ。順番が訪れたが産婦人科なので僕は外で待つことに。
しばらくすると妻が出てきた。
「どうだった?」
『妊娠してたよ』
そういって差し出したのは一枚のエコー写真。
そこに映るほんと小さな命。僕たちのところにきてくれたんだね。そう思うと涙があふれそうになった。
大きさはいちごサイズ。でもしっかり生き抜こうとしている命。
そう僕は父になったのだ。
何もわからないけど、僕は嬉しかった。
診察が終わり、カフェで休憩することにした。タバコをすっている人はいないか。混み合っていないかなど気にしたけど近場のカフェに。
飲み物を頼み、妻が一言『どうしよう・・・』
その目には涙が光っていた。
不安だったのだ。
その小さな体にたくさんの不安を抱えて母になる覚悟を決めていたが不安な気持ちが遂にあふれた。
そんな妻をみて、僕は妻をそしてこの小さな命を守っていこうと改めて決めた。
大きくなるお腹と増える妻への体の負担
食欲が増し、どんどん大きくなるお腹。
女性の体は赤ちゃんの命を育むために日々変化していく。そうなると腰などにも影響が出てくる。
つわりなどもあり体調の良くない日も続いた。
母子手帳をもらいにいったり、定期検診にいったりと毎日何かと忙しい。胎教ではないがお腹を触りながら「楽しみに待ってるからね」と声をかける。
エコー写真もどんどんはっきりした映像に変わっていく。
名前がまだないので我が家はベビ吉と呼んでいたのは懐かしい思い出である。
このときは男の子か女の子はわかっていなかったがなんとなくベビ吉と呼んでいた。
ぽんぽん叩くと反応するようになった
4ヶ月もすると少しずつ胎動を感じるようになった。
ぽんぽんとお腹をたたくとそれに反応するのだ。『お父さん、ぼくはここにいるよ』という家族のサインみたいで嬉しかった。
時にはこんなにも力強く蹴るのかというくらいにけることもあった。こんな小さな体でもおなかの中で頑張っているんだと嬉しかったのを今でも覚えている。
引っ越しをすることになった
当時、結婚した直後は僕の一人暮らし時代に住んでいたところに妻は引っ越してきていた。
お腹も少しずつ大きくなってきたので妻のご両親の近くに引っ越すことに。
まさかの緊急入院
泣きじゃくる妻、そして立ち尽くす夫
病院につくと即検査となった。そして予想通り入院することに。赤ちゃんの状態やどういった病気なのかを説明される。ただそんなことは頭に入ってこない。ただ気になるのは「赤ちゃんは大丈夫なの?」かそれだけだ。
病室に移り看護師さんから入院の説明を受ける。そして一言「赤ちゃん、大丈夫だから!」と僕たちが一番聞きたかった一言が発せられたとき、妻は声を出して泣いた。
僕は何もできなかった。そうただ祈ることしか。
ひたすら寝るという切迫早産の治療
耐えきった入院、そして春の訪れ
やっと会えたね
なんとか予定日を迎えることができた。しかし産まれそうな気配がない。散歩でもしようということになり昔2人でデートした桜並木を歩いた。今度は3人で。
2012年4月9日 午前1時56分 息子誕生。
僕は泣いた。 やっと会えたね。ずっと会いたかった息子。やっと会えた。
産まれてきてくれて本当にありがとう。妻よ、大切な息子を命がけで産んでくれてありがとう。
そして現在
まとめ
夫から父になるタイミングは本人にもわからないのだと思う。
子供を授かったタイミングで父になる人もいれば、子供が産まれても父になりきれない人もいる。
ただ一つだけ言えることは出産も、育児も奥さん一人でするものではない。
愛し合った妻と、夫。2人揃って前進していくのだ。
そして最高の笑顔で2人だけの天使を迎え入れてほしい。
最後に・・・
みんな、ありがとう。僕は幸せです。
息子に感謝。そして愛する妻に感謝。